(『月刊 人事労務実務のQ&A』 2012年4月号 【企業事例】掲載記事 : 一般社団法人 日本労務研究会 発行)
企業事例【わが社の人事政策】 日本レーザー
File.16 会社は社員と共に成長 能力と成果を導く理念
レーザー専門の輸入商社・日本レーザーは債務超過に陥っていた1994年に親会社から派遣された近藤宣之社長が再建を果たし、成長を続けている。
昨年は「日本でいちばん大切にしたい会社大賞中小企業庁長官賞」を受賞した。日本では珍しい経営陣と従業員による企業買収を行い、社員全員が株主だ。従業員満足が顧客満足を生むとして、公平なマネジメントで能力の底上げを図っている。
同社は、レーザーの輸入商社の草分けである。1968年から事業を始め、現在は59人の従業員で19期連続の黒字を続ける優良企業だ。2007年7月に我が国では珍しいMEBO(経営陣と従業員による企業買収)を実施。現在は純粋持株会社JLCホールディングスの100%子会社である。
3度のリストラを経験
現在の日本レーザーを語るには近藤宣之社長のことを語らなければならない。
1968年慶応大学電気工学科卒業後、日本電子に入社。72年にわずか28歳で日本電子労働組合の委員長に就任し、83年まで11年にわたり委員長職にあった。
この間、波状的な会社の合理化と向き合い、全社員の3分の1に当たる1,000人の解雇を経験することになる。39歳で委員長職を降りた後、84年には米国勤務となる。
ここでもニュージャージーとボストンの現地法人でリストラの渦中に身を置くことになる。当時、冷戦の崩壊で、軍関係の予算が激減したことが原因だ。
近藤氏がここで得たものとして、英語能力を身につけたことと、米国式経営をつぶさに経験したことが挙げられる。これが日本レーザーに移ってから大きな力となる。87年に米国法人の支配人になった後に、89年には同社取締役となったが、当時最年少の45歳の取締役だった。
持株会社で将来の布石を打つ
日本レーザーは、1991年から3年連続して赤字決算となり、債務超過に陥っていた会社である。日本に呼び戻されていた近藤氏は、同社の立て直しを命じられる。社長として赴き、1年で黒字決算を実現する。
給料を下げ、ボーナスは1ヵ月、経費も削り、展示会にも出展しないなど、出血を止めての黒字化だ。社長就任に当たっては、全社員に雇用は守るから指示したことは守ってほしいと訴えた。ただ不満を持つ者もあり、商権を持って退社した人もいる。
これは同社の再建にとって痛手であった。
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