(THE21 2014年1月号『成長企業にワザあり』第3回 掲載記事 : 株式会社PHP研究所 発行)
なぜ、破綻処理寸前の会社が20期連続黒字に変わったのか
“ご縁と感謝”を連鎖させるしくみ
本連載では、業績を急伸させている企業を取り上げ、その原動力となっているビジネスモデルや“しくみ”を紹介する。今回取り上げるのは(株)日本レーザー。
近藤氏の社長就任以来、2013年度(1〜12月)で20期連続黒字を達成する見通しだ。
07年には他に類を見ないかたちのMEBO(経営陣と従業員による自社株買い取り)を実施。
自己資本比率を約5割に引き上げ、無借金経営化に成功。
同社の成長の基盤とは?
海外取引先にも社内でも〝CAR〟を原則にする
レーザー機器の輸入商社である当社にとって、アベノミクスによる円安の影響は大きなものです。二〇一二年末には、一三年度は仕入額が約四億円増えるだろうとわかっていました。それまでの三年間、当社は史上最高水準の三億円規模の経常利益を出してきましたが、このままでは一億円の赤字が出る計算です。
けれども、蓋を開けてみると、十月が終わった時点で利益が五千万円。あと二カ月の成績次第では、一億円の利益も視野に入っています。少なくとも、二十期連続の黒字達成は間違いありません。
では、どうやって黒字にしたのか。手段は二つしかありません。一つはコストを下げること。たとえば、海外出張が多いので、その日当や旅費交通費を削減しました。とはいえ、もともと贅沢をしている会社ではないので、コストを削れるのはせいぜい数%ほど。金額にすれば二千万円というところでしょう。でも、その効果には金額以上のものがあります。費用を抑えることで「会社は大変なのだな。頑張ろう」という意識が社員に共有され、モチベーションが上がるからです。
もう一つは、売上げを増やすこと。これについては、二つの方向性が考えられます。
一つは、既存の商品の売上げを伸ばすことです。顧客をこれまでの大学中心から高専にも広げる、企業向けでは電機中心から自動車にも広げる、といった取り組みを行ないました。
二つ目は、これまでやっていない事業に取り組むこと。つまり、事業の多角化です。多角化には原理原則があります。経験のない技術で新たなマーケットに挑戦すると、必ず失敗します。得意とする技術に関連することをやるか、すでに持っている市場で新しいことに取り組むかの、どちらかでなければ成功しません。当社では、これまでの市場で新たな商品を扱う道を選びました。
...(以下略)
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