( タウン情報誌 「メトロガイド」 2011年9月発行特別号 就職特集 “社長インタビュー” 掲載記事:日刊工業新聞社 発行・編集 )
「社員満足こそを第一に」
不況でも成長を続ける未来型中小企業の原点
日本でいちばん大切にしたい会社の人材戦略とは
過去5年以上にわたり人員整理をしていない、黒字経営─。
不況下の日本でこの厳しい条件をクリアし、第1回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の中小企業庁長官賞に輝いたのが日本レーザーだ。前期は過去最高利益を達成した。従業員56人、年商39億円の中小企業ながら、TOEIC800点以上の社員が2割以上。国立大学の博士号取得者、東証第1部上場企業からの転職者など優秀な人材を集める。
この会社が、かつて債務超過に陥っていたとは想像しにくい。再建を担った近藤宣之社長の考え方をひもとくと、強さの秘密が見えてくる。
会社は何のためにあるのか
94年に日本レーザー社長に就任し、07年にMEBO(マネジメント・エンプロイー・バイアウト、従業員による事業買収方式)により独立しました。いま、当社の株主は社員です。
よく、だから社員の士気が高いのでしょうと言われますが、逆です。士気が高いからMEBOをしたのです。当社は「社員満足こそ第一に」を掲げています。
教科書通りに言うと、企業は人、モノ、金、情報を生かして利潤を得るのが役割で、「顧客満足が第一」です。しかし、企業は何のためにあるのかと考えると、人、モノ、金、情報を生かすのは人。つまり社員なのです。会社は社員の自己実現の舞台なのです。
例えば、当社は就業規則を毎年変えています。4月には短時間療養勤務制度を導入しました。この制度は、どの会社にもありません。療養中の社員が正社員として働き続けられるようにと作りました。いま、当社の就業規則は非常に良いものができています。
社長になるまで
中高生のころからマルクスの本を読むような学生でした。本だけ読むと、社会主義は本当に素晴らしかった。そして、大学在学中にドイツに行く機会を得ました。当時は冷戦下。西ベルリンは発展しており、「戦争は20年も前の出来事」でした。しかし1つ壁を越えて東側に入ると、途端にがれきの山。「戦争からまだ20年しかたっていない」のです。理想と違いショックを受けました。同じ優秀なドイツ人で、こんなに差がつくのです。
大学卒業後に入社した日本電子では、労組委員長になりました。当時28歳です。...(以下略)
※全文は添付ファイルを参照ください※